マンションの遺品整理にかかる費用は?間取り別相場と安く抑えるコツを徹底解説

マンションの遺品整理にかかる費用は、1Kで3万円~8万円、2DKで5万円~25万円、3LDK以上で18万円~が相場です。

ただし、この金額はあくまで目安であり、荷物の量や建物の状況によって大きく変動します。

故人様が暮らしたマンションの遺品整理は、精神的にも肉体的にも大きな負担となる作業です。

特に、一軒家とは異なるマンション特有の事情が、遺品整理をより複雑で費用のかかるものにしています。

この記事では、遺品整理士の監修のもと、マンションの遺品整理にかかる費用相場を間取り別に詳しく解説します。

さらに、費用を安く抑える5つのコツや、悪徳な遺品整理業者を見分ける方法、信頼できる業者の選び方まで、後悔しないための知識を網羅的にご紹介します。

大切な方を亡くされた悲しみの中で、この記事が少しでもご遺族の負担を軽減する一助となれば幸いです。

この記事でわかること

  • マンションの遺品整理の相場
  • 遺品整理の具体的な進め方
  • 悪徳業者の見分け方

本記事の監修者

遺品整理士 : 新井 伊織 (あらい いおり)

協会認定遺品整理士(第IS27259号)・終活カウンセラーの新井伊織です。遺品整理グリーンにて、年間300件以上の生前・遺品整理のご相談を承っております。「第一の相談役」として、一人ひとりに寄り添い、サポートいたします。

目次

遺品整理とは?

遺品整理とは、故人様が残された品々を整理し、必要なものと不要なものに仕分ける作業全般を指します。

単なる「片付け」や「不用品回収」とは異なり、故人様の思い出が詰まった品々を一つひとつ丁寧に扱い、供養やリサイクル、買取など、適切な方法で手放していくプロセスが含まれます。

ご遺族の心情に寄り添いながら、法的な手続きや専門的な知識を要する場面も多く、近年では専門の遺品整理業者に依頼するケースが一般的になっています。

マンションならではの難しさ(荷物の量、作業範囲の広さ)

マンションの遺品整理が特に困難とされる理由は、その構造的な制約にあります。

多くのマンションでは、一軒家のように庭や倉庫といった保管スペースが限られているため、室内に荷物が密集しがちです。

長年住まわれたお部屋であれば、収納スペースやベランダ、押し入れの奥まで、想像以上の量の荷物が詰め込まれていることも少なくありません。

また、作業範囲が室内だけでなく、共用部分にも及ぶ点がマンションの遺品整理を難しくします。

エレベーターや廊下、エントランスといった共用部分を使い、大型の家具や家電を搬出する必要があるため、他の居住者への配慮が不可欠です。

作業時間帯の制限や、搬出経路の養生(傷を防ぐための保護)など、管理組合との事前調整も必要となるでしょう。

アパート・マンションの遺品整理との違い

基本的な作業内容はアパートの遺品整理と大きくは変わりませんが、マンション、特に分譲マンションの場合は、より厳格な管理規約が存在することが多く、作業の制約が大きくなる傾向があります。

例えば、作業可能な曜日や時間帯が細かく定められていたり、搬出入に使うエレベーターの使用許可を事前に申請する必要があったりします。

また、タワーマンションなどの大規模な集合住宅では、駐車場から部屋までの距離が長く、搬出作業により多くの時間と人員を要するため、費用が高くなる一因となります。

【一覧表】マンションの遺品整理、間取り別の費用相場

H2 【一覧表】マンションの遺品整理、間取り別の費用相場

遺品整理を業者に依頼する際、最も気になるのが費用相場です。

費用は部屋の広さや荷物の量によって大きく変動しますが、ここでは一般的な間取り別の費用相場を一覧表でご紹介します。

これはあくまで目安であり、実際の料金は個々の状況によって変わるため、正確な金額は必ず業者からの見積もりで確認してください。

間取り費用相場作業時間の目安作業人数の目安
1K30,000円~80,000円1~3時間1~2名
1DK・2DK50,000円~250,000円2~6時間2~4名
2LDK・3DK100,000円~450,000円4~10時間3~6名
3LDK以上180,000円~6時間~4名~

1Kの場合

1Kの間取りは、単身者向けの住居がほとんどであるため、比較的荷物が少なく、費用相場は3万円から8万円程度です。

作業員1~2名で、数時間程度で完了することが多いですが、室内が物で溢れている、いわゆる「ゴミ屋敷」の状態であったり、特殊清掃が必要な場合は、相場を上回る可能性があります。

2DKの場合

2DKは、ご夫婦や少人数のご家族で住まわれていることが多く、1Kに比べて荷物の量が格段に増えるため、費用相場も5万円から25万円程度と幅が広くなります。

大型の家具や家電が増え、部屋数も多いため、作業には2~4名の人員で半日程度の時間を見込むのが一般的です。

3DK以上の場合

3DK以上のファミリー向けマンションになると、遺品の量はさらに増え、整理作業も大掛かりになります。

費用相場は12万円から45万円以上となり、荷物の量や部屋の状態によっては、さらに高額になることも珍しくありません。

作業員も3~6名以上が必要となり、作業時間も丸一日、あるいは複数日にわたるケースも出てきます。

遺品整理の費用は何で決まる?料金の内訳と変動要因

H2 遺品整理の費用は何で決まる?料金の内訳と変動要因

遺品整理の費用は、単に部屋の広さだけで決まるわけではありません。

様々な要因が複雑に絡み合って最終的な金額が算出されます。

ここでは、費用の内訳と、料金を左右する具体的なポイントについて詳しく解説します。

基本料金に含まれる作業内容(仕分け、搬出、清掃など)

多くの遺品整理業者が提示する基本料金には、以下の作業内容が含まれているのが一般的です。


•遺品の仕分け作業

貴重品、リサイクル品、不用品などを分別します。


梱包作業

仕分けた品物を適切に梱包します。


搬出作業

不用品や大型家具などを部屋から運び出します。


車両費・運搬費

トラックなどの車両費用と、処分場までの運搬費用です。


簡易清掃

荷物をすべて搬出した後の、掃き掃除や掃除機がけなどの簡単な清掃です。

費用を左右する5つのポイント

基本料金に加えて、以下の5つのポイントが費用を大きく変動させる要因となります。

1. 部屋の広さと荷物の量

最も基本的な変動要因です。部屋が広く、荷物の量が多ければ多いほど、必要な作業時間と人員が増え、処分費用もかさむため、料金は高くなります。

2. 作業員の人数と作業時間

遺品整理の費用の大部分は人件費です。

荷物の量や搬出経路の状況に応じて、必要な作業員の人数と時間が決まり、それが直接費用に反映されます。

3. 建物の立地と周辺環境

マンション特有の要因として、エレベーターの有無は費用に大きく影響します。

階段での搬出作業は、時間と労力がかかるため、追加料金が発生することがほとんどです。

また、トラックを停める駐車スペースが敷地内にない場合や、前面道路が狭く大型車両が入れない場合も、作業効率が落ちるため費用が割高になる傾向があります。

4. オプションサービスの有無

基本料金に含まれない特別な作業を依頼すると、別途オプション料金が発生します。

代表的なものには、特殊清掃、遺品の供養、ハウスクリーニング、エアコンの取り外しなどがあります。詳細は後述します。

5. 買取品の量と価値

遺品の中に骨董品や貴金属、ブランド品、新しい家電など、価値のある品物があれば、業者に買い取ってもらうことが可能です。

買取金額は作業費用から差し引かれるため、結果的に全体の費用を安く抑えることができます。

賢く費用を抑える5つのコツ

H2 賢く費用を抑える5つのコツ

決して安くはない遺品整理の費用。

少しでも負担を減らすために、ご遺族自身でできる工夫があります。ここでは、賢く費用を抑えるための5つのコツをご紹介します。

自分でできる範囲の片付けを進めておく

業者の作業量を減らすことが、費用削減の最も直接的な方法です。

明らかなゴミや不用品を分別して処分しておくだけでも、業者の作業時間を短縮できます。

また、貴重品や形見分けの品を事前に探してまとめておけば、当日の仕分け作業がスムーズに進み、結果的に人件費の節約に繋がります。

遺品買取サービスを積極的に利用する

価値のある遺品は、積極的に買取サービスを利用しましょう。

遺品整理業者の中には、買取を専門に行っている、あるいは提携している業者も多く存在します。

買取金額を作業費用に充当することで、支払う金額を大幅に減らせる可能性があります。

複数の品物をまとめて査定してもらうと、高値がつきやすい傾向にあります。

複数の業者から相見積もりを取る

遺品整理を依頼する際は、必ず複数の業者(できれば3社以上)から見積もりを取りましょう。

同じ作業内容でも、業者によって料金体系や得意分野が異なるため、金額に大きな差が出ることがあります。

見積書の内容を詳細に比較検討し、料金だけでなく、サービス内容や担当者の対応なども含めて、総合的に判断することが重要です。

繁忙期を避けて依頼する

引越しシーズンである3月~4月や、年末年始は遺品整理業者の繁忙期にあたります。

この時期は予約が取りにくいだけでなく、料金が通常よりも高く設定されている場合があります。

もしスケジュールに余裕があれば、これらの時期を避けて依頼することで、費用を抑えられる可能性があります。

自治体のサービスや補助金を確認する

お住まいの自治体によっては、高齢者世帯の粗大ごみ搬出をサポートするサービスや、遺品整理に関する補助金制度を設けている場合があります。

適用条件は自治体ごとに異なりますが、一度、市区町村の役所や社会福祉協議会に問い合わせてみる価値はあるでしょう。

要注意!悪徳な遺品整理業者の見分け方と手口

H2 要注意!悪徳な遺品整理業者の見分け方と手口

残念ながら、遺品整理業界には、ご遺族の悲しみや知識のなさに付け込む悪質な業者も存在します。

大切な遺品を託す業者選びで失敗しないために、悪徳業者の特徴と手口を知っておきましょう。

「無料回収」を謳う業者には要注意

「なんでも無料で回収します」と宣伝しながら軽トラックで地域を巡回している業者は、悪徳業者である可能性が非常に高いです。

廃棄物の処分には必ず費用がかかるため、「無料」はあり得ません。

後から高額な処理費用を請求されたり、回収した遺品を不法投棄されたりするトラブルが後を絶ちません。

見積もり内容が不透明・曖昧

「作業一式〇〇円」といったように、内訳が記載されていない大雑把な見積書を提示する業者には注意が必要です。

作業後になって「追加料金」と称して、不当に高額な請求をしてくるケースがあります。

優良な業者は、作業内容ごとに詳細な料金を明記した、透明性の高い見積書を作成します。

必要な許認可がない

家庭から出る一般廃棄物を収集・運搬するには、市区町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。

この許可を保有していない遺品整理業者は、基本的にはこの許可を持つ他の業者に廃棄物を委託しています。

しかし、ごく稀に許可も保有せず、委託もせず遺品整理をおこっている違法な業者も存在しています。

こうした業者は回収した遺品を山中などに不法投棄するリスクが非常に高いです。

不法投棄が発覚した場合、依頼主が責任を問われる可能性もあります。

見積もり時に、許可証の提示、または委託先業者を紹介してもらいましょう。

また、遺品の買取を行うには「古物商許可」が必須です。これらの許認可の有無は、必ず事前に確認しましょう。

高額なキャンセル料を請求するケース

契約を急かしたり、一度契約したら高額なキャンセル料を盾に解約を認めなかったりするのも悪徳業者の手口です。

契約書にサインする前に、キャンセルポリシーについてもしっかりと確認しておくことが大切です。

失敗しない!優良な遺品整理業者の選び方

H2 失敗しない!優良な遺品整理業者の選び方

安心して任せられる優良な遺品整理業者を見極めるためには、いくつかのポイントがあります。

以下の5つの点をチェックして、信頼できるパートナーを選びましょう。

遺品整理士が在籍しているか

「遺品整理士」は、遺品整理の専門知識や法規制、供養に対する心構えなどを習得した専門家です。

この資格を持つスタッフが在籍していることは、業者の専門性と信頼性を測る一つの指標となります。

遺品整理士認定協会が認定した優良事業所であれば、さらに安心です。

訪問見積もりに丁寧に対応してくれるか

電話やメールだけで確定料金を提示するのではなく、必ず現地を訪問して見積もりを行ってくれる業者を選びましょう。

その際の担当者の対応も重要な判断材料です。こちらの質問に丁寧に答えてくれるか、ご遺族の気持ちに寄り添った提案をしてくれるかなど、コミュニケーションを通じて信頼できる相手かを見極めましょう。

料金体系と見積書の内訳が明確か

料金体系がウェブサイトなどで公開されており、見積書の内訳が詳細で分かりやすいことが優良業者の条件です。

追加料金が発生する可能性のある作業についても、事前にきちんと説明してくれる業者を選びましょう。

口コミや実績が豊富か

業者のウェブサイトに掲載されている作業事例やお客様の声、第三者の口コミサイトなどを参考に、実績が豊富で評判の良い業者を選びましょう。

長年の経験と多くの実績は、信頼の証です。

損害賠償責任保険に加入しているか

万が一、作業中に建物や家財を破損してしまった場合に備えて、損害賠償責任保険に加入しているかどうかも確認しましょう。

保険に加入していることは、リスク管理意識の高い、責任感のある業者である証拠です。

遺品整理だけじゃない!知っておきたいオプションサービス

H2 遺品整理だけじゃない!知っておきたいオプションサービス

遺品整理業者は、基本的な片付け作業以外にも、ご遺族の様々なニーズに応えるオプションサービスを提供しています。

特殊清掃(孤独死やゴミ屋敷の場合)

故人様が亡くなってから発見まで時間がかかった場合や、ゴミ屋敷の状態であった場合など、通常の清掃では対応できない状況で必要となるのが特殊清掃です。

専門的な薬剤や機材を用いて、汚染物の除去、消臭、除菌、害虫駆除などを行います。

遺品の供養・お焚き上げ

故人様が大切にされていた人形や仏壇、神棚、写真など、そのまま処分するには忍びない品々を、合同供養やお焚き上げによって丁寧に手放すサービスです。

ご遺族の心の負担を和らげるための大切なプロセスです。

ハウスクリーニング

遺品整理後の部屋を、より綺麗にするための専門的なクリーニングサービスです。

キッチンや浴室、トイレなどの水回りの頑固な汚れや、エアコン内部の洗浄など、プロの技術で徹底的に清掃します。

賃貸物件の明け渡しや、不動産の売却を考えている場合に特に有効です。

不動産の売却相談

遺品整理後のマンションや一軒家をどうするか、お悩みのご遺族も少なくありません。

多くの遺品整理業者は、不動産会社と提携しており、物件の査定から売却、解体まで、ワンストップで相談に乗ってくれます。

まとめ

マンションの遺品整理は、一軒家とは異なる特有の難しさがあり、費用も決して安くはありません。

しかし、費用相場や料金の仕組みを正しく理解し、費用を抑えるコツを実践することで、ご遺族の負担を大きく減らすことが可能です。

そして何より、信頼できる優良な遺品整理業者をパートナーに選ぶことが、後悔のない遺品整理を実現するための最も要な鍵となります。

この記事でご紹介したポイントを参考に、故人様との最後の時間を、心穏やかに整理するための一助となれば幸いです。

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