無許可の遺品整理業者に注意!必要な許可と安全な業者の選び方を徹底解説

遺品整理は、資格や許可が重要
実は、遺品整理を業者に依頼する際には、「資格」や「許可」を取得しているかどうかが、トラブルを避けるための大きな分かれ道になります。
例えば、許可を保有する業者に依頼すると、不法投棄や高額請求、貴重品の紛失といった問題が発生する可能性もあるのです。
特に初めて業者に依頼する人にとっては、「どんな許可が必要なのか?」といった疑問があるのは当然です。
また、複数の業者を比較する中で、「許可を保有しているか」を業者選びの基準にしたいと考えている方も多いでしょう。
実例や注意点を交えながらわかりやすく解説していきます。
- 1. 遺品整理は、資格や許可が重要
- 1.1.1. 本記事でわかること
- 2. 遺品整理業者に必要な許可とは?
- 2.1. 安心できる三つの許可・資格
- 2.1.1. ① 一般廃棄物収集運搬業許可
- 2.1.1.1. 必要な理由
- 2.1.1.2. 【重要】多くの業者が「提携先の許可を利用」している
- 2.1.2. ② 古物商許可
- 2.1.3. ③ 産業廃棄物収集運搬業許可
- 2.2. さらに保有していると安心の資格・許可
- 2.2.1. ① 遺品整理士
- 2.2.2. ② 事件現場特殊清掃士
- 3. 無許可業者に依頼するとどうなる?【3つのリスク】
- 3.1. ① 不法投棄や法令違反によるトラブル
- 3.1.1. その結果、悪徳業者はどうするか?
- 3.2. ② 処分費用の不当請求や高額請求
- 3.3. ③ 貴重品・遺産の紛失や横領トラブル
- 3.3.1. 遺品整理は、ご遺族がすべての作業に立ち会えるとは限りません。
- 4. 遺品整理業者を選ぶ際のチェックポイント
- 4.1. 許可証の確認方法
- 4.2. 見積書・契約書の明示
- 4.3. 公式サイト・自治体のリストでの掲載有無
- 4.4. 業務範囲と許可範囲が一致しているかを確認
- 5. 信頼できる遺品整理業者の見分け方
- 5.1. 「許可の有無+見積もり+対応力」がポイント
- 5.2. 料金の安さよりも「安全性・透明性」で選ぶ
- 5.3. 相見積もり時に聞くべき3つの質問
- 5.3.1. 「家庭ごみの処分は、どの市区町村の一般廃棄物収集運搬業許可で行いますか?」
- 5.3.2. 「貴重品(現金や写真、重要書類など)が見つかった場合、どのように対応されますか?」
- 5.3.3. 「見積もり金額以外に、当日追加で費用が発生する可能性はありますか?」
- 6. まとめ
- 7. CTA
遺品整理業者に必要な許可とは?

遺品整理業者が行う業務は非常に多く、その内容によって必要となる「資格」や「許可」は異なります。
遺品整理と聞くと遺品整理士の資格を思い浮かべるかもしれませんが、実はそれ以上に重要なのが、廃棄物の処分(収集・運搬)に関わる行政の許可です。
これらがなければ、法に触れる作業となってしまう可能性があるのです。
ここでは、遺品整理を業者に依頼する上で知っておくべき主要な許可について、その重要度と共に詳しく解説します。
安心できる三つの許可・資格
実は遺品整理は無資格、無許可でも開業できます。
しかし、優良な遺品整理業者に無許可、無資格の業者は存在しません。
ここではそれぞれの許可、資格を説明し、業者選びの基準にご活用ください。
① 一般廃棄物収集運搬業許可
遺品整理において、これが最も重要な資格です
必要な理由
遺品整理の作業では、家具、家電、衣類、布団、雑貨など、多種多様な不用品が発生します。
これらは故人が一般家庭で生活する上で使用していたものであり、法律上一般廃棄物に該当します。
家庭の中にある一般廃棄物を、ご遺族以外の第三者が有償で収集・運搬するには、廃棄物処理法に基づき、作業を行う市区町村ごと(または当該市区町村から委託)の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必須となります。
これは非常に厳格な許可であり、新規の事業者に発行されることは限定的で、取得が極めて困難なことでも知られています。
【重要】多くの業者が「提携先の許可を利用」している
この許可の取得が困難であるため、多くの遺品整理業者は、自社で許可を保有せず、許可を持つ地域の清掃事業者や専門業者と提携して廃棄物の処理を行っています。
この「提携」自体は違法ではありません。
重要なのは、見積もり時などに「当社の廃棄物処理は、〇〇市(地域)の一般廃棄物収集運搬許可を持つ、〇〇(提携会社)に正式に委託して行います」と、依頼者に対して明確に説明できるかどうかです。
逆に、「うちは全部自社でやります」と言いながらこの許可番号を提示できない業者は、無許可でごみを運搬している可能性があり、非常に注意が必要です。
② 古物商許可
遺品の中で価値のあるものを買取してもらう場合に必須の許可です。
遺品整理では、まだ使える家電や、骨董品、貴金属、ブランド品など、リユース・リサイクルが可能なものが発見されるケースも多くあります。
業者がこれらの品を買い取る業務を行うためには、盗品等の売買を防止する古物営業法に基づき、都道府県の公安委員会が発行する古物商許が必須です。
この許可なく買取業務を行うことは違法となります。
遺品を少しでもリユース・リサイクルに回し、整理費用に充当したいと考える場合は、業者がこの「古物商許可」を取得しているか、許可証の番号(例:第〇〇〇〇号)が公式サイトなどに記載されているかを確認しましょう。
③ 産業廃棄物収集運搬業許可
こちらは「一般家庭」の遺品整理では、通常は該当しません。
産業廃棄物とは、企業の事業活動に伴って発生した廃棄物のことです。
例えば、故人が事務所や店舗を経営していた場合、そこにある什器、OA機器、事業で出たゴミなどは産業廃棄物として扱われる可能性があります。
こうした法人系の残置物の片付けも同時に依頼する場合、業者は都道府県が発行する産業廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
あくまで事業系のゴミを処分する場合の許可ですので、一般家庭の遺品整理を依頼するだけであれば、この許可の有無を気にする必要は低いでしょう。
さらに保有していると安心の資格・許可
さらに保有していると、安心材料になる資格や許可を紹介します。
資格や許可を多く保有している遺品整理業者ほど、様々な状況に臨機応変に対応してくれます。
① 遺品整理士
この資格は、遺品整理の業務に必要な法律知識(廃棄物処理法、古物営業法など)、遺品の分別や供養に関する知識、遺族の悲しみに寄り添うグリーフケアの心得などを学んだ証となります
これは行政の「許可」ではなく、一般社団法人などが認定する「民間資格」です。
遺品整理士は、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する資格です。
この資格がなければ遺品整理の仕事ができないわけではありませんが、スタッフがこの資格を保有している業者は、業界の知識や依頼者への対応力を向上させる意識が高いと判断できます。
信頼できる業者かどうかの判断材料の一つとして、非常に有効な資格と言えるでしょう。
被リンク (遺品整理士 資格)
② 事件現場特殊清掃士
故人が亡くなられてから時間が経過した現場(孤独死など)の清掃・消臭を行うための事件現場特殊清掃士といった民間資格も存在します。
これらは、より専門性が高い業務や困難な現場に対応するための知識と技術を持つ証明となります。
特に特殊清掃が必要なケースでは、通常の遺品整理業者では対応が困難な場合が多いため、こうした資格の有無が業者選びの重要なポイントになります。
無許可業者に依頼するとどうなる?【3つのリスク】

「少しでも費用を安く抑えたい」という思いから、許可の有無を確認せずに料金の安さだけで業者を選んでしまうと、取り返しのつかない深刻なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
「自分は大丈夫」と思っていても、知らずに依頼してしまうと、依頼者であるあなた自身が被害者にも加害者にもなり得ます。
ここでは、無許可業者に依頼した場合の具体的な3大トラブルを解説します。
① 不法投棄や法令違反によるトラブル
最も深刻なトラブルの一つが「不法投棄」です。
前述の通り、家庭ごみを処分するには市区町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必須です。
無許可業者はこの許可を持っていないため、正規の処分場にごみを搬入できません。
その結果、悪徳業者はどうするか?
答えは、人目につかない山中や空き地、他人の私有地などに遺品を不法投棄するのです。
もしその不法投棄が発覚し、遺品の中から依頼者の情報が特定された場合、廃棄物処理法に基づき、業者だけでなく依頼者も責任を問われる可能性があります。
警察や自治体から事情聴取を受けたり、最悪の場合、原状回復命令をを求められるケースもゼロではありません。
故人の大切な遺品が不法に捨てられ、さらに依頼者まで法的な問題に巻き込まれるという、最悪の事態です。
② 処分費用の不当請求や高額請求
無許可業者は、法律や業界のルールを守る意識が低いため、料金トラブルが非常に多く発生します。
典型的な手口は、「無料回収」「業界最安値」などと謳って依頼を誘い、作業が始まった後やトラックに積み込んだ後で、「見積もりになかった処分費用」「想定外の分別作業費」などと称して高額な追加費用を請求するケースです。
「積み込みが終わっているからキャンセルできない」という依頼者の弱みに付け込み、不当な請求を強行します。
当初の見積もりではA社(許可業者)よりB社(無許可業者)の方が安かったはずが、最終的な支払い総額はB社の方が遥かに高くなってしまった、というのはよくある話です。
③ 貴重品・遺産の紛失や横領トラブル
遺品整理の作業中には、ご遺族も把握していなかった現金、貴金属、さらには相続に関わる重要書類(不動産の権利書や預金通帳)などが見つかることがあります。
信頼できる業者であれば、これらを丁寧に分別し、必ず依頼者に確認・返却します。
悪質な無許可業者の場合、作業の混乱に乗じてこれらを故意に盗み出す、あるいは雑な作業でゴミとして処分してしまうリスクがあります。
遺品整理は、ご遺族がすべての作業に立ち会えるとは限りません。
作業後にあの貴重品はどこへ行ったのかと業者に問い合わせても、最初からなかった、ゴミとして処分したと言われれば、それ以上追求するのは困難です。
故人の財産だけでなく、大切な思い出の品まで失う悲劇につながりかねません。
遺品整理業者を選ぶ際のチェックポイント

信頼できる業者を選ぶためには、ご自身で証拠を確認する姿勢が重要です。
口頭での「大丈夫です」を鵜呑みにせず、以下のポイントを書面やデータでチェックしましょう。
許可証の確認方法
以下の許可証の有無を確認しましょう。
一般廃棄物収集運搬業許可
「一般廃棄物の許可を持っていますか?」と直接尋ね、「許可番号」を確認しましょう。
優良な業者は公式サイトの会社概要などに「〇〇市 一般廃棄物収集運搬業許可 第XXXX号」といった形で記載しています。
作業を行う市区町村の許可が必要です。
※他業者に委託している場合は、問題ありません。
古物商許可
買取も依頼する場合は、同様に「古物商許可番号(〇〇県公安委員会 第XXXX号)」の提示を求めてください。
見積書・契約書の明示
「電話や口頭での見積もり」だけで契約するのは絶対に避けてください。
必ず現地訪問の上、書面で見積書をもらいましょう。
一式といった曖昧な記載ではなく、作業人件費、車両費各品目の処分費用、買取金額などが具体的に明示されているかを確認しましょう。
特に追加費用が発生する可能性の有無は、契約前に必ず書面で確認してください。
公式サイト・自治体のリストでの掲載有無
業者の実態を確認します。
公式サイト
会社概要ページに、実在する住所、固定電話の番号、そして前述の許可番号が明記されているかを確認します。
自治体のリスト
多くの自治体は、公式サイトで一般廃棄物収集運搬業許可業者の一覧を公開しています。
そのリストに、検討している業者の名前(または提携先の名前)が掲載されているかを確認するのが最も確実な方法です。
業務範囲と許可範囲が一致しているかを確認
「何でもやります」という業者には注意が必要です。
買取をHPで謳っているのに、古物商許可番号の記載がない。
家庭ごみの回収を大々的に宣伝しているのに、一般廃棄物許可の記載がなく、提携先の説明もない。
これらは、許可と業務内容が一致していない可能性があり、違法な営業を行っている懸念があります。
信頼できる遺品整理業者の見分け方

必要な許可を保有していることは、信頼できる業者選びのスタートラインに過ぎません。
故人の大切な遺品を安心して任せるためには、そこからさらに一歩進んだ見極めが必要です。
「許可の有無+見積もり+対応力」がポイント
本当に信頼できる遺品整理業者は、3つの要素が高水準です
- 1. 許可の有無(安全性)
「一般廃棄物収集運搬業許可」や「古物商許可」など、法的な要件をクリアしていること。これは大前提です。
- 2. 見積もりの丁寧さ(透明性)
訪問見積もり時の説明が丁寧で、提出された見積書が「一式」ではなく、作業内容ごとに細かく分類・明記されていること。
- 3. 担当者の対応力(信頼性)
電話や訪問見積もり時のスタッフの言葉遣い、身だしなみ、そして何よりご遺族の気持ちに寄り添う姿勢(グリーフケア)があるか。
こちらの質問や不安に対し、曖昧な返事をせず、誠実に回答してくれるかを見極めましょう。
料金の安さよりも「安全性・透明性」で選ぶ
遺品整理では、どうしても費用に目が行きがちです。
しかし、許可のない業者が提示する「安さ」には、不法投棄や不当請求といったリスクが隠れています。
故人の遺品が適切に処理され、貴重品が確実に保護されるという「安全性」
作業内容と費用が明確で、後からトラブルにならない「透明性」
この2つを料金の安さよりも優先することが、結果的にご遺族の安心につながります。
相見積もり時に聞くべき3つの質問
業者の実力と信頼性を見極めるため、最低でも2〜3社から相見積もりを取り、必ず以下の3つの質問を投げかけてみてください。
その回答の仕方で、業者の姿勢が明確にわかります。
「家庭ごみの処分は、どの市区町村の一般廃棄物収集運搬業許可で行いますか?」
提携ですか? 自社ですか?」も確認
信頼できる業者は、許可番号や提携先の会社名を明確に回答できます。
ここで答えが曖昧だったり、話を逸らしたりする業者は、無許可の可能性が高いです。
「貴重品(現金や写真、重要書類など)が見つかった場合、どのように対応されますか?」
「必ず作業の手を止めて依頼者様にご確認いただきます」「貴重品ボックスに仕分けます」など、具体的な作業フローを説明できる業者は安心です。
「適当にまとめておきます」といった雑な回答は検討の余地なしです。
「見積もり金額以外に、当日追加で費用が発生する可能性はありますか?」
優良業者は「見積書に記載のない作業(例:当日の不用品追加)が発生しない限り、金額は変わりません」と書面を元に説明します。
「やってみないと分からない」などと曖昧な回答をする業者は、高額請求のリスクがあります。
まとめ
大切な故人の遺品整理で後悔しないために、最も重要なことは「業者が必要な許可・資格を保有しているか」をご自身の目で確認することです。
特に、家庭ごみを処分するための一般廃棄物収集運搬業許可(または正規の提携)と、買取を行うための「古物商許可」は、法律で定められた必須の許認可です。
また、「遺品整理士」のような民間資格は、業者の専門性や信頼性を判断する指標となります。
高額請求や不法投棄、貴重品の紛失といった深刻なトラブルを回避する第一歩は、依頼者であるご遺族が「正しい知識」を持つことです。
それが、故人の想いを丁寧に整理し、ご遺族の心の負担を軽くすることに直結します。



