実家の遺品整理は自分でできる?業者に頼むべき?判断基準を解説

実家の遺品整理について


実家の遺品整理に直面したとき、多くのご遺族が「自分たちで片付けるべきか、専門の業者に依頼すべきか」という問題で悩まれます。


故人との思い出が詰まった品々を前に、費用を抑えたい気持ちと、時間や手間といった負担の間で揺れ動くのは当然のことです。

ここでは、ご自身で整理する場合のメリット・デメリット、そして業者に頼むべきかの判断基準を詳しく解説します。




【チェックリスト】自分でやるか業者に頼むかの判断基準



ご自身の状況で判断に迷う場合は、以下のリストを確認してみてください。


  • □ 実家間取り3LDK以上、または物が溢れている

  • □ 遺品整理に割けるまとまった時間(数週間~数ヶ月)がない

  • □ 実家が遠方にあり、何度も通うのが難しい

  • □ 作業を手伝える相続人や親族が少ない

  • □ 大型家具や重い家電を安全に搬出するのが困難

  • □ 不用品やゴミの正しい分別・処分方法を把握していない

  • □ 賃貸物件の退去期限や、実家の売却期限が迫っている

  • □ 故人の遺品を前にして、精神的な負担が大きく整理が進まない



3つ以上当てはまる場合は、ご自身だけでの対応は困難な可能性が高いため、遺品整理業者への依頼を検討することをおすすめします。


自分で片付ける場合のメリット・デメリット



ご家族だけで遺品整理を行う最大のメリットは、業者に支払う費用を最小限に抑えられる点です。


人件費や車両費がかからず、不用品の処分費用だけで済むケースもあります。


また、自分たちのペースで作業を進められるため、故人の思い出の品とゆっくり向き合い、気持ちの整理をつける時間を持てることも利点でしょう。


一方、デメリットは想像以上の時間と肉体的・精神的な負担がかかる点です。


特に実家が一軒家の場合、物の量は膨大です。


家電やタンスなどの大型家具の搬出は非常に重労働であり、分別や不用品の処分にも多大な手間がかかります。


相続人間で作業の分担がうまくいかなかったり、思い出の品を前に作業が進まなくなったりと、精神的な負担が大きくなる可能性も考慮しなくてはなりません。


自分で行う場合の具体的な手順と注意点



もし自分たちで作業を進める場合は、事前の計画が重要です。

1.スケジュールと役割分担の決定

相続人全員で話し合い、いつまでに、誰が何を行うかを明確にします。

2. 必要な道具の準備

軍手、マスク、ゴミ袋、ダンボール、ガムテープなどを揃えます。


3. 貴重品・重要書類の捜索


相続手続きに必要な書類や貴重品を最優先で確保します。


3. 仕分け作業

「残すもの」「買取に出すもの」「処分するもの」に分類します。


4. 不用品の処


「残すもの」「買取に出すもの」「処分するもの」に分類します。


5. 不用品の処分

自治体のルールに従い、粗大ゴミの回収手配やクリーンセンターへ持ち込みを行います。


注意点として、相続に関わる遺品は、必ず相続人全員の合意を得てから整理・処分するようにしてください。





自分たちだけでは難しいケース


以下のケースでは、無理をせず専門業者に依頼するのが賢明です。


特殊清掃が必要な場合

故人が亡くなってから発見までに時間が経過した場合など、部屋の消臭・消毒といった特殊な清掃が必要になることがあります。


これらは専門的な技術と機材が必要なため、ご自身での対応は不可能です。



実家が遠方の場

何度も往復する交通費や滞在費、時間的コストを考えると、現地の業者に依頼した方が結果的に費用と負担を軽減できることがあります。



ゴミ屋敷の状

物が天井近くまで積み上がった「ゴミ屋敷」状態の場合、遺品の捜索はおろか、分別や搬出作業の危険度も高まります。


安全かつ効率的に進めるためにも、経験豊富な業者の力が必要です。


空き家・不動産売却の期限がある場合

実家が空き家となり、売却や解体のスケジュールが決まっている場合、期限内にすべての作業を完了させる必要があります。


遺品整理士などの資格を持つプロに依頼すれば、片付けから清掃までを迅速に完了させてもらえます。




実家の遺品整理にかかる費用相場【間取り別・家の状況別】



実家の遺品整理を専門業者に依頼する際、最も気になるのが「費用はいくらかかるのか」という点でしょう。


遺品整理の費用は、部屋の広さ(間取り)や状況によって大きく変動します。

まずは、間取り別の料金相場と、作業時間や作業人数の目安を一覧でご紹介します。



間取り別の費用目安(1K〜5LDK超)



遺品整理の費用相場は、間取りが広くなるほど高額になる傾向があります。


これは、作業にあたるスタッフの人数や時間、不用品の処分量が増えるためです。

間取り費用相場作業時間の目安作業人数目安
1R・1K30,000円~80,000円1~3時間1~2名
1DK50,000円~120,000円2~4時間2名
1LDK70,000円~200,000円2~6時間2~3名
2DK90,000円~250,000円3~6時間2~4名
2LDK120,000円~300,000円4~8時間3~5名
3LDK170,000円~500,000円5~12時間3~6名
4LDK~220,000円~8時間~(2日以上)4名~


【注意点】


上記の相場はあくまで目安です。同じ3LDKの実家でも、物が少ない部屋と、いわゆる「ゴミ屋敷」の状況では、費用が2倍以上変わるケースも少なくありません。

正確な料金は必ず見積もりで把握しましょう。




費用の内訳はどうなっている?基本料金の内訳を解説



業者が提示する見積もりには、主に以下の項目が含まれています。


遺品整理の基本料金


人件費


遺品の仕分け、梱包、搬出などを行うスタッフの作業費用

作業時間と人数によって決まります。


運送費


不用品やゴミを回収・運搬するためのトラックの費用です。物量に応じて軽トラック、2tトラックなどが手配されます。


処分費


回収した遺品や家電、家具などを法令に従って適切に処分するための費用です。業者は自治体の許可を得て処分を行います。



遺品整理のオプション料金


搬出オプション


エアコンの取り外し、設置

ピアノや金庫など重量物の搬出


清掃オプション


ハウスクリーニング、清掃

特殊清掃


見積もりを取る際は、「どこまでの作業が基本料金の範囲に含まれているか」を複数社に確認することが、高額請求トラブルを避けるコツです。




費用を左右する要素



最終的な遺品整理の費用は、間取りだけでなく、以下のような様々な要素によって決まります。

1. 物量(遺品の量)最も費用を左右する要素です。

部屋から物が溢れている状況、いわゆる「ゴミ屋敷」状態であれば、間取りが狭くても作業時間がかかり、処分する不用品も増えるため、料金は高額になります。


2. 建物の条件(搬出経路)実家の立地や建物の構造も重要です。

階数

エレベーターがない物件の3階から大型の家電や家具を搬出する場合、作業員の負担が増えるため人件費が加算されます。


駐車スペース

トラックが家の前に停められない場合、遠くから台車で運ぶ必要があり、時間と人手がかかります。


3. オプション作業の有無

前述のハウスクリーニングや特殊清掃、エアコンの取り外しなど、専門的な作業を依頼すれば、その分費用が上乗せされます。


4. 買取品の量買

買取が可能な遺品(貴金属、骨董品、新しい家電など)が多ければ、買取金額が遺品整理の費用総額から差し引かれ、ご遺族の金銭的負担を軽減できる可能性があります。



これらの要素を総合的に判断し、業者は最終的な見積もり額を算出します。

遺品整理費用が高額になるケースとは?【100万円超えの実例も】



実家の遺品整理では、間取り別の相場を大きく超える高額な費用が発生するケースがあります。


物量や状況によっては、見積もりが100万円を超えることも決して珍しくありません。


100万円超になった実際のケース紹介



ここで、実際に遺品整理の費用が100万円を超えた実例をご紹介します。


物件状況: 3LDKの一軒家(実家)

ご依頼内容
ご遺族が遠方に住んでおり、長年空き家状態だった実家を売却するために遺品整理を依頼されました。


しかし、部屋は故人が住んでいた頃から物が溢れ、害虫も発生している「ゴミ屋敷」状態でした。

高額になった理由
室内の遺品や不用品の処分量はトラック5台分にも及びました。


さらに、庭の物置やベランダにもゴミが山積みで、その搬出と処分にも時間と人手が必要でした。

売却期限が迫っていたため、短期間での作業(スタッフ6名・2日間)が求められた点も費用に影響しました。

【内訳】
人件費(6名 2日) 40万円
不用品・ゴミ処分費 (トラック5台分) 50万円
簡易清掃・諸経費  15万円
合計     105万円


このように「ゴミ屋敷化」「処分量の多さ」「清掃の必要性」が重なると、費用は100万円を超える高額な見積もりとなる可能性があります。

実家整理の費用を抑える6つの工夫



実家の遺品整理にはまとまった費用がかかりますが、事前の準備や業者選びのコツを把握しておけば、その金銭的負担を大きく軽減できる可能性があります。

ここでは、遺品整理の費用を賢く抑えるための「7つの工夫」を具体的に解説します。


①事前に仕分け・片付けできる部分は自分たちで


遺品整理の費用は、業者の作業時間と処分する物量で決まります。費用を抑える最大のコツは、業者に依頼する作業量を減らすことです。

明らかなゴミ(生活ごみ、雑誌類など)は自分たちで処分する

貴重品や重要書類(相続関連)は事前に捜索しておく

形見分けとして残す遺品は別の部屋にまとめておく



ご遺族でできる範囲の片付け・仕分けを済ませておくだけで、業者の作業時間が短縮され、人件費や処分費の節約につながります。


②買取対応のある業者を活用



遺品整理業者の中には、不用品の買取サービスに力を入れているところがあります。


処分するしかなかった遺品の中に価値ある品が含まれていた場合、専門のスタッフが査定し、買い取ってくれます。

最大のメリットは、買取金額を遺品整理の費用から直接差し引ける点です。


処分費がかかると思っていた家電や家具に値段がつけば、トータルの負担を大幅に軽減できます。


遺品整理と不用品買取を別々の業者に依頼する手間も省けます。



③複数社に相見積もりを取る(3社以上推奨)


業者選びで失敗しないため、そして適正な相場を把握するために、「相見積もり」は必須です。


最低でも3社以上の複数社に見積もりを依頼しましょう。


その際、料金の総額だけを比較するのではなく、「基本料金にどこまでの作業が含まれているか」「オプション費用はいくらか」といった内訳を細かく確認することが重要です。


電話やメールだけでなく、必ず現地訪問による無料見積もりを受け、各社の対応や専門性も見極めましょう。



④空き家になる前に早めの対応


実家が空き家になってから遺品整理を始めると、費用が余計にかさむ可能性があります。


空き家は放置しているだけで、固定資産税や光熱費の基本料金、火災保険料などの維持コストがかかり続けます。

また、親御様がご健在のうちに整理を始める生前整理も有効な選択肢です。


本人と一緒に片付けを進めることで、遺品整理の負担そのものを減らすことができます。


いずれにせよ、問題の先送りは金銭的負担を増やすため、早めの対応が費用を抑える鍵となります。



⑤ 自治体の粗大ごみ・資源回収制度を使う


業者に不用品の処分を依頼すると、産業廃棄物としての処分費がかかりますが、自治体の粗大ごみ回収や資源回収制度を使うと、数百円程度で処分できるケースがほとんどです。

実家のある市区町村のルールを確認し、タンスや布団、古い家電(リサイクル法対象外のもの)などを自分で搬出・処分できれば、業者に支払う費用を大幅に削減できます。


ただし、かなりの時間と手間がかかるため、ご自身の状況と合わせて判断しましょう。



⑥ 見積もり時に不要なオプションを省く


見積もりの際、業者は遺品の処分や清掃のほか、「ハウスクリーニング」「消臭・除菌サービス」「供養サービス」などのオプションを提案してくることがあります。

もちろん必要なサービスもありますが、「清掃は自分たちでやる」「供養は付き合いのあるお寺に頼む」など、不要なオプションを明確に断ることで、見積もり金額を下げることができます。依頼する作業範囲を明確に線引きしましょう。



どんなものが買取対象になる?高く売れるものの具体例


買取対応の業者を活用する際、以下のような品が買取対象になる可能性があります。


貴金属・宝飾品



指輪、ネックレス、金縁のメガネなど(壊れていても金・プラチナ自体に価値があります)


ブランド品



バッグ、時計、財布など


骨董品・美術品



壺、掛け軸、茶道具、絵画、古銭、切手など


新しい家電



製造から5年以内の冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなど


家具


有名メーカーのデザイナーズ家具、状態の良い桐タンスなど


趣味のコレクション



楽器、カメラ、オーディオ機器、鉄道模型、お酒(未開封の古酒)


その他




着物(証紙のあるもの)、贈答品(タオル・食器セットなど未使用品)

これらはあくまで一例です。


自分たちでは価値がわからないものでも、専門の査定士が見ると思わぬ高額になることもあります。



実家整理のあとにかかる「別の費用」にも要注意



遺品整理が無事に終わっても、安心はできません。


特に「実家」という不動産を相続した場合、その後の状況によっては、整理費用とは別に大きな金銭的負担が発生する可能性があります。

遺品整理と並行して、実家の物件を今後どうするかを相続人間で話し合い、トータルでかかる費用を把握しておくことが重要です。


解体費用(木造・鉄骨など建物構造別)


相続した実家が老朽化している場合や、更地にして売却する場合には「解体費用」が必要になります。

解体費用は、物件の構造によって大きく異なります。一般的な目安は以下の通りです。

木造

坪あたり3万円~5万円程度


鉄骨造

坪あたり4万円~6万円程度


鉄筋コンクリート造(RC造)

坪あたり5万円~8万円程度

例えば、30坪の木造物件であれば90万円~150万円が相場となります。


また、アスベスト(石綿)が使用されている場合は除去費用が別途高額になるため、事前の調査が必要です。


空き家維持コスト(月々の固定費)


実家をすぐに売却も解体もせず、空き家として所有し続ける場合、継続的な維持コストが発生します。

  • 固定資産税・都市計画税

    誰も住んでいなくても、所有しているだけで毎年課税されます。

  • 火災保険料・地震保険料

    リスクに備えるため必要です。

  • 光熱費の基本料金

    電気や水道を解約しない場合、基本料金がかかります。

  • 管理費

    遠方に住んでいる場合、空き家の定期的な見回りや清掃、庭の手入れなどを業者に依頼する費用がかかります。

空き家を放置し、倒壊の危険などがある「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税負担が一気に跳ね上がるリスクも把握しておきましょう。


売却・リフォーム費用の可能性


実家(不動産)を売却して現金化する選択肢もありますが、その際も費用がかかります。

  • 仲介手数料: 不動産会社に支払う成功報酬(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)

  • 登記費用: 相続登記や抵当権抹消登記などに必要な登録免許税や司法書士報酬。

  • 印紙税: 売買契約書に貼る印紙代。

また、実家の状況によっては、そのままでは買い手がつかず、「リフォーム」や「ハウスクリーニング」が必要になるケースも多々あります。


その費用も数十万~数百万円単位でかかる可能性を考慮しなくてはなりません。



監修者情報

まとめ


今回は、実家の遺品整理にかかる費用について、相場から高額になるケース、費用を抑えるコツまで詳しく解説しました。

実家の片付けは、費用の負担だけでなく、精神的・肉体的な負担も大きいものです。

費用は部屋の状況や物量によって大きく変動するため、まずは「自分のケースだといくらかかるのか」という相場を把握することが重要です。

費用を抑えるには、事前の仕分けや買取の活用、そして複数社への相見積もりが欠かせません。


信頼できる専門業者に依頼することで、ご遺族の負担は大きく軽減されます。

何から手をつければいいか分からない、費用が不安だという方は、まずは無料の見積もり相談を活用し、専門家に状況を把握してもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。